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2012年4月8日日曜日

AIJと年金制度と個人投資と投資信託と証券会社の関係

2012年2月の証券取引等監視委員会による検査と行政処分勧告により、AIJ投資顧問が虚偽の運用報告を行ってきた事が発覚し、実際には1800億円近い年金の運用資産が消失している可能性が高い事が判明した。

[日本の年金制度の問題]
AIJ投資顧問による資産運用の失敗、虚偽の報告、及び詐欺的な営業を行って、厚生年金基金の多くが騙された結果、これらの年金基金に加入している企業の従業員、退職者が将来予定していた年金を受け取れなくなる可能性が極端に高くなる事態を引き起こした。連鎖的にはこれらの企業の連鎖倒産や厚生年金の資金からの補てん等が起きる可能性があり、その影響は相当程度広くて大きいであろうと言うこと。

AIJ投資顧問の不祥事が引き金を引いた年金に係る諸問題は、幾つかの日本の社会構造の重大な不具合が複雑に、また密接に絡んでいる。

[投資顧問業者による詐欺事件と金融制度]
まずはAIJ投資顧問の不祥事として、金融商品取引法、投資運用業者の登録制度と当局による監督、検査の対応の問題。登録審査は?監督や検査の状況は?投資顧問業に係る法制度は?適切だったか。
[厚生年金と日本の年金制度設計と監督制度]
次に騙された厚生年金基金の運用委託責任。全ての基金が騙されていたわけではない事から、委託者としての委託先選定手続きや審査基準の設定や実施、さらに委託状況のモニタリングやその結果の対応計画や実行プラン策定などの委託者としての義務。


それぞれ、投資顧問の課題、年金基金の課題、とすると、それぞれが幾つかの構造上の複合的な不具合がある。厚生年金制度の不具合、金融商品取引業の登録制度の不具合。またこれらの不具合がどこから起きているか。広くは世界的な人口動態の変動による制度のきしみと政治の怠慢と民意の未成熟。

[政治の問題としての年金制度]
硬直した官僚制度と機能していない政党政治が、本来機能すべき国の行政の仕組みの適切な見直しを行えず、機能していない年金制度をそのまま温存し、厚生省又は社会保険庁の利権として天下り先としてしか機能していない。
1986年まで生命保険会社と信託銀行にしか認めていなかった年金資金の運用を、大蔵省の下に投資顧問業法を制定、投資顧問業者による運用を拡大し、90年には投資信託委託業者としての運用会社を含め、投資運用業界の確立、その後の金融庁設立と2007年の金融商品取引法の施行を集大成として金融庁による資産運用業界の掌握がなされている。




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